本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「用がないのなら、帰ってくれる? 私もそこまで暇ではないの。魔術師団長から依頼された仕事もあるし……」

 魔術師団長が誰を刺しているのかに気づいたらしいフィノラは、露骨に面白くなさそうに表情を変えた。

(……前は、この顔をさせるのが怖かったっけ)

 生家で暮らしていた頃、フィノラが不満を見せれば、叱られるのはリティスだった。

だから、リティスはフィノラに不満を抱かせないようにしてきたし、こんな表情をした時には、何を口実に叱られるのかとドキドキしたものだった。
 でも、今はフィノラが不満顔になってもなんとも思わない。

「……わかったわ。先に話をしてしまいましょう。お姉様、家に帰ってこない?」

「なんで?」

 リティスの返事に、フィノラは目を見開いた。

フィノラの提案に、リティスがすぐに「はい」と言わなかったのが驚きなのだろう。以前のリティスなら、フィノラの思うように返事していたはずだ。

「だ、だって……家族は一緒に暮らすのが当然でしょう?」

「そんなことないわよ。一緒に暮らすのが当然なら、職員の寮があるはずないじゃない。貴族のご令嬢だって、同僚にいるのよ」

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