本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 リティスの他にも、何人か貴族の娘が同僚にいる。もっとも、彼女達は王宮に勤めている男性が婚約者だ。

 実家から通うよりも王宮内にある寮で生活した方が、婚約者との時間をゆっくり取れるというのが寮に入っている理由である。

 リティスのように、帰る家がないというのは珍しい。

「……お父様も、お母様もお姉様が戻ってこなくて力を落としているの。帰って来てくれない?」

 貴族の常識から攻めるのは諦めたらしいフィノラは、今度は家族の情に訴えかけてきた。

 目を潤ませ、こちらを見つめるその表情は、たしかに可愛らしい。

リティスが彼女に好意を持っていたならば、どんな無茶でも聞いてしまいそうなほどに。

「あら、お父様とお母様が、私に対して愛情を持っているなんて初めて知ったわ。ねえ、フィノラ――私がいなくなっても、お父様もお母様も対して力を落としてなかったでしょう? 考えが変わったのは、私がここで働くようになったから」

 そして、リティスの能力が認められたからだ。なんの役にも立たないと思って放置していた娘が、王宮でそれなりに認められた。

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