本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 そんなことできるはずない。こちらを見るフィノラの目はそう語っていた。

 自分の容姿に自信を持ち、社交の場ではそれこそ蝶のようにひらひらと飛び回っていたフィノラだ。出費を抑えるのも、手にした宝飾品を手放すのも嫌なのだろう。

「それが嫌なら、ベルフォラタ伯爵令息にお願いしたらどうかしら? 愛しい婚約者に、贈り物をするのは婚約者の甲斐性なのでしょう? そりゃ、必要以上のおねだりははしたないけれど、協力はしてくださるはずよ」

 それも嫌ならば、手持ちの宝飾品から宝石を外し、新しい宝飾品を作るとか。
 台座を変えてしまえば、意外と気づかれにくいものだ。実際、そうしている貴族も多い。

「……エデル様にはお願いしたわよ! それでも追いつかないの」

「あの方、私には何も贈ってくださらなかったのに……」

 やはり愛されていなかったのだ。婚約者としての、最低限の礼儀すら守ってもらっていなかった。

 物が欲しかったわけでもないし、エデルに愛されることはとっくに諦めていたから今さらではあるけれど。

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