本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「それなら、節約を頑張るのね。大丈夫、一年、二年だもの。うまくやれば、周囲の人だって、気づかないわよ」

「もういいわ! 帰ってこなかったこと、後悔したって遅いんだから!」

 言葉を尽くしても、リティスが戻ることはないとようやく悟ったのだろう。フィノラは椅子を蹴倒しそうな勢いで立ち上がった。

「あとで泣きついても知りませんからね!」

 と、去り際に捨て台詞。

(それは、ないわね)

 残されたリティスは、心の中でつぶやいた。

 今のフィノラの申し出を断ったことを、後悔する日は絶対に来ない。



 フィノラが王宮図書館を訪れてから数日の間、仕事場は平和だった。

 妹が、リティスを訪ねて、生家に戻るように訴えてきたという噂は広まってしまったけれど。

 そして、噂はアザレウスのところまで届いてしまったらしい。

「リティス嬢、家に戻らなくていいのか?」

「殿下、あの家に私の居場所はありませんよ」

 たずねてきたアザレウスにそう言ったら、彼はなんとも言えない顔になった。彼はリティスに同情してくれているのか、それともそこに別の思いがあるのか。

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