本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 リティスは二人の背後からこそこそ見るしかなかったわけで――たしかに、王宮の劇場だけあって、従業員達のサービスは素晴らしかったし、食べ物も飲み物も美味しかった。

 だからこそ、よく見える場所で楽しめなかったことが悔しい気がしてしまう。

(……言うだけ無駄だというのもわかっているけれど)

 それでも、屋敷の前まで送られれば、彼に丁寧に頭を下げる。

 先方がマナー違反をしているとはいえ、こちらが同じところまで下りていく必要はない。

「エデル様、素敵なお誘いありがとうございました」

「ああ、気に入ったか? 当然気に入ったよな」

「はい、エデル様のセンスは最高です!」

 と、リティスの代わりにフィノラが先に返してしまう。

 だから、婚約者同士の会話に割り込んでくるのはいかがなものか。

「フィノラ嬢が気にいってくれて、本当によかった」

 と、フィノラに微笑みかけたエデルは、こちらに目を向ける。おそらく、リティスが彼に感謝の言葉を述べるのを待っているのだろう。

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