本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「重いだろう」

「問題ありませんよ。私は、力持ちですから――私の力こぶ、見えませんでした?」

「見えなかったな」

 先ほど、腕を折って見せたことを口にするが、力こぶなんてない。アザレウスが笑ってくれたのでほっとした。

「魔術師団長、今日のところはお休みになってください。あとは、我々が引き継ぎます。呼び出しをかけていた休暇中の者もすぐに到着しますから、何があっても対応できます」
「……わかった」

 今のアザレウスがここにいてもできることはほとんどない。声をかけてきた魔術師の提案で、一度休むことになる。


「では、お休みになれる場所までお連れしますね」

「その建物の一階でいい。ソファ等が置いてある部屋がある」

 アザレウスが指さしたのは、今、結界を張ったばかりの敷地の中。王族の避難している場所だそうだ。そこならば、何かあってもすぐに飛び出せるという判断もあるのだろう。

 彼が指示するとおりに進み、昼間ならば明るいであろう部屋へと入る。室内には、座り心地のよさそうなソファが置かれていた。

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