本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 まだ動けるほど魔力が回復していないらしいアザレウスは、ソファに身を預けたまま続ける。

「それなりに、縁談を持ち掛けられたこともあったんだが――」

 どうしよう。胸がチクリとした。

 リティスだって、婚約していた相手がいた。王族や貴族だったら、国のため、家のために定められた相手と結ばれるのが当然のこと。

 王宮図書館の同僚達だって、結婚相手が決まっている人が大半だ。

 アザレウスに縁談がもちかけられたと聞いて、胸を痛めていいような立場ではないのに。

「俺自身が、興味を持てなかったというのもあるのだろうが、子供達が嫌がってな」

 縁談の相手は、アザレウスだけではなく子供達とも仲良くしようとしていた。

 だが、主にセリカが受け入れなかった。イレクスの方は挨拶ぐらいはしたけれど、セリカはそれすら拒んで逃げたこともあったという。

「それは……あまりよくありませんね」

 いくら子供といえど、許されることと許されないことがある。今のイレクスとセリカならば、もう少しましだろうか。

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