本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 ここで十七年生活したけれど、自分の家とは思えない。懐かしさすら感じないことに自分でも驚いた。

「リティス、本当にいいのか?」

「……罪は罪です」

 アザレウスの問いにそう返すと、彼は、複雑な表情になった。

(もしかしたら、私の内面を見透かされてしまっているのかもね)

 罪は罪。それを否定するつもりはないけれど、実の家族に対してあまりにも情がないと言えばないのも事実。家族と仲のいい彼からしたら、思うところはいろいろとあるのだろう。

 門の前に馬車が停められたのに気づいた門番が、こちらに向かって声をかけてきた。

「当家に何か御用……失礼いたしました! お嬢様!」

 降りてきたのがリティスであるのに気づくと、目上の者に対する礼をきちんと取る。

「ごめんなさいね。お父様に緊急の用件があって帰ってきたの。王弟殿下も一緒だと伝えてもらえるかしら」

「かしこまりました!」

 にっこりと微笑んで見せれば、焦った様子で奥に話を通しに行く。

「まさか、フィノラの名前が書かれているとは思っていませんでした……」

 あの時。

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