本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「あら、お父様。いずれ呼んでくださったのでしょう? それなら、今来てもいいじゃない」

 リティスは、眉間に皺を寄せた。

 フィノラは、以前からこんなふるまいをしただろうか。

 リティスのことは自分より下だと思っていたし、屋敷の中でリティスが虐げられる原因の大半はフィノラが作ったものである。

 だが、外面はよく、外では『きちんとした淑女』と言われていたはず。

 まさか、リティスと一緒に来たからアザレウスに無礼な真似をしてもいいと思ったわけでもあるまいに。

「殿下、まずは応接間に……そちらでゆっくりとお話を伺いましょう」

「……フィノラ嬢に、話をする許可を与えたつもりはないのだが?」

「まあ、殿下。私、殿下にご挨拶をさせていただきたかっただけですのに」

 アザレウスが厳しい表情になると、フィノラはへにゃりと眉を下げた。自分のそんな顔が、相手にどんな印象を与えるのかよくわかってやっている。アザレウスには通じなかったけれど。

「王族を害そうとしておいて、よく言うな」

「……え?」

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