本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 アザレウスの言葉が信じられないというように、フィノラは目を大きく見開いた。その様子は、演技には見えない。

「どういうことですか、殿下!」

 父が叫んだ。

 たしかに、フィノラが王族を害そうなんて聞いたら、そんな反応にもなるだろう。

「昨夜、王宮が襲撃にあった。何者かが、悪魔を呼び出し、そして王族を害そうとしたのだ」

 アザレウスは、首を傾げた。父の言葉を信じていないと示すかのように、ゆっくりと話す。

「なんと!」

「……なんて恐ろしい!」

 父は驚愕の声を上げ、フィノラは両手で口を覆う。ぶるぶると震える様子は、昨夜の出来事などまったく知らないようにも見えた。

「では、皆様ご無事なのですか? お見舞いを申し上げても?」

 どうやら、父は何も知らないようだ。昨夜、王宮が襲撃されたことすらも。

「伯爵、伯爵は何も知らないのか? 悪魔を呼び出したのは、フィノラ嬢――いや、フィノラ・オセルティスなんだぞ」

「――殿下! いくら殿下が王族といえど、言っていいことと悪いことがあります! なぜ、フィノラを犯人などと!」

「……証拠があるの」

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