本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「おい、おい、リティス」

「お姉様、どうしてしまったの?」

 すっかり頭から抜け落ちていたのはエデルだけではなかった。妹も頭から抜け落ちてしまっていた。どうかしている。

「……なんでもないわ」

 にっこりと笑った。

 そろそろ解散しないだろうか。

 早く、曽祖母の隠し部屋に行きたい。またもや、リティスの意識はあの部屋に飛んでしまう。

 婚約者との時間、いや婚約者と妹のおまけとして扱われる時間なんてさっさと終わってしまえばいい。

 けれど、リティスのその反応は、エデルを苛立たせただけのようだった。

「お前……お前は! だから、お前みたいな可愛げのない女なんて嫌だった!」

「……そんなことを言われても」

 そもそも、エデルの方がリティスを視界に入れてくれないのだから、こちらから打てる手はないではないか。

 でも、その言葉は口から出ることはなかった。リティスよりも先に、エデルが口を開いたからだ。

「お前との婚約は破棄だ! 俺は、フィノラと結婚する!」

「……まあ」

 リティスは目を瞬かせた。

 婚約は、家と家との契約である。そんなこと、できるのだろうか。

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