本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 父の言葉に、そっとリティスは口を挟んだ。

 今までリティスの存在を忘れていたらしい父は、こちらを向いて、口をパクパクとさせる。言葉が見つからないのだろう。

「証拠って? お姉様、証拠なんてあるはずないわ。どうして、私が悪魔を呼び出したと言うの?」

 目を潤ませながら、フィノラはリティスに言った。その表情は弱々しく可憐だ。
 アザレウスの方に救いを求めるような目を向けるが、彼はフィノラにはまったく取り合わなかった。

「最近ね、新しく開発された魔術があるのよ。いいえ、再発見された魔術というべきかしら。王宮の地下書庫で、発見された魔術書に記されていたの」

 ここまで一息に言って、息をつく。アザレウスの方にちらっと目をやったら、続けるようにと彼は頷いた。

「その魔術の中には、召喚した悪魔を消滅させるのと同時に――召喚者の名前を残す、というものがあったの。そして、昨夜王宮を攻撃した悪魔の残した名前は」

 その名を口にしようとして、一瞬ためらう。

(……変な話)

 家族ではないと思っていたはずなのに、ここでその名を口にするのをためらうなんて。

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