本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「悪魔の残した名前がどうしたの?」

「……フィノラ・オセルティス。悪魔が残した名前は、あなたのものだった」

「嘘よ! そんなの証拠にならないわ! お姉様、私のことが嫌いだから、王宮が攻撃されたのを幸いに、私に罪をなすりつけようとしているのでしょう! 貴重な古代魔術の使い手だからって、悪用するなんて酷い! 殿下、信じてください! 私は、そんなことはしていません!」

 涙をぼろぼろと流しながら、フィノラはアザレウスに訴えかけた。アザレウスならば、自分に味方してくれると信じているのだろう。

「それはない」

 けれど、アザレウスはフィノラの期待を裏切った。彼女を見つめる彼の目は冷たい。

「その古代魔術を使ったのは、俺だ。リティスではない」

「……え?」

 アザレウスの言葉に、フィノラは虚を突かれたかのように固まった。

「で、でも殿下は詠唱魔術の使い手で……」

 今の剣幕が嘘のようにおろおろとしてしまう。

 今知られている古代魔術の使い手は、リティスとイレクスの他、数名だけ。その中にアザレウスは含まれていない。

 うろたえているフィノラを見たアザレウスは頷いた。

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