本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「詠唱魔術の使い手が、古代魔術を使えないのはよく知られている話だな。だが、使いにくいだけであって、慣れればどうにでもなる」

 アザレウスは、使える古代魔術は今のところひとつだけだ、と笑って見せた。

 古代魔術が廃れた要因は、頭の中に完璧に魔術陣を描がかねばならないという点にある。

 アザレウスほどの魔術の腕を持っていたとしても、古代魔術を完璧に使えるようになるのは難しい。

「……そ、そんなの! 聞いてないわ!」

「フィノラ! 何をしている!」

 いきなり魔力を集中させ始めたフィノラに、父はぎょっとした目を向けた。

 父からしたら寝耳に水。フィノラが、王族を攻撃したなんて信じたくないのだろう。

「――聞いてないわ! 聞いてないわ! 知らないもの! 私は、何も知らない!」

 叫んだフィノラは、口の中で素早く何事か唱えた――魔術を使おうとしている。

「フィノラ、やめなさい! 何をするつもりだ!」

 慌てた父が、フィノラを取り押さえようとする――が、フィノラの方が早かった。呪文を唱え終え、指先をリティスに向ける。

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