本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 だが、それはフィノラの神経を逆なでするには充分だった。

「何よ! お姉様なんて、お姉様なんて……この家じゃいらない子なのに! 愛されている私を、妬んでいるのでしょう。動機なんてそれで充分よ!」

「……まさか。愛されたいなんて願うの、とっくにやめたわ。この家にいるのは、他人でしょ。大人になるまで生活の面倒は見てもらったから、その分のお返しはしたつもりえだけれど。伯爵夫人とあなたの浪費が、伯爵の想定以上だったのかしら」

 領地の帳簿を確認し、財政再建のためのアイディアを出した。それだけで充分生活の面倒を見てもらった礼になったのではないかとリティスは考えている。
 父が、リティスの言葉にもっとしっかり耳を傾けてくれていたら、伯爵家の財政が傾く度合いは最小限にできただろう。

 リティスの言葉に、フィノラの顔から表情が抜け落ちた。

「愛されたいと……思ってない……?」

「ええ。愛されたいなんて思ってないわ。今の私は、一人で生きていける」

 たしかに、生活の面倒は見てもらった。
< 256 / 288 >

この作品をシェア

pagetop