本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 衣、食、住、フィノラと差はつけられたにしても、必要最低限は与えられてきた。貴族の娘が身に着けるべき教育も教養も与えられた。

 でも、それだけだ。最初から、この屋敷にリティスの居場所はなかった。
 必要最低限の扱いだって、いつかリティスを伯爵家の役に立つ相手に売りつけるためのものでしかない。

「リティス……」

 どうして、フィノラだけではなく、父まで茫然としているのだろう。

 リティスときちんと向き合ってくれていたら、厳格だったという曽祖母とは別の人だとちゃんとわかってもらえたはず。最初から向き合う選択を捨てたのは、父ではないか。

「オセルティス伯爵令嬢を連行してくれ。それと伯爵。伯爵にも話を聞くことになる」

「……だから、私は無実だってば!」

 わめくフィノラの魔力を魔術師達が封じ、騎士達が素早く取り囲む。一応、貴族の娘なのでさほど手荒な扱いではなかったが、それでもフィノラは連行されていった。

 残った父は、茫然とその姿を見送り、そしてリティスの方に目を向ける。

「本当に……フィノラがやったのか……?」

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