本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 フィノラは夢中で手を振り回しているが、パパベルは器用にその手をひょいひょいと潜り抜けている。間に割って入ろうとしたリティスは気がついた。

(めちゃくちゃ楽しんでいるわね――!)

 本気でフィノラを壊そうとしたのなら止めようと思ったが、どう見ても今のパパベルは遊んでいる。

 楽しんでいる。最高に楽しそうだ。

「素直に知る限りのことを教えてくれれば、極刑は免れるよう兄上に口添えしてもいい」

 アザレウスが口を挟む。

 いつの間にか涙をぼろぼろと流し始めていたフィノラは、助かったというようにアザレウスに目を向けた。

「知る限りのことを話せ。幸い、王族は全員無事だ。騎士も王宮魔術師も、負傷者は軽傷の者ばかり。俺が口添えすれば、処刑は免れるはずだ」

「は、話します! 全部話します……!」

 こうなったら、フィノラがアザレウスにかなうはずもなかった。

 アザレウスによって元の椅子に座らされたフィノラは、ぽつぽつと口を挟む。

 元々、フィノラは魔術師としての才能があった。

 だからこそ、父はフィノラに家を継がせたいと思ったし、エデルもリティスよりフィノラに惹かれた。

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