本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 リティスの言葉に、ふたりは目を剥いた。その表情がそっくりで、場をわきまえずに笑ってしまいそうになる。
 以前、夜会の場で顔を合わせた時、宰相は妙にリティスに探りを入れてきていた。もしかして、エデルの扱いが悪くなったのは、エデルが婚約を破棄したことによってリティスとアザレウスの距離が近づいたのを面白くないと思っていたのもあるのかもしれない――なんて、考え過ぎだろうか。

「リティス、だが俺は君に――」

「まだ、婚約はしていません……私とアザレウス様の関係を、上司と部下だと考えている人の方が多いはずです。妙に距離が近いと思われているかもしれませんが」

 アザレウスはリティスに告白してくれたが、ふたりの関係は正式には公になっていない。

 今のリティスの身分はオセルティス伯爵家の娘であり、王宮図書館の職員。それだけだ。

 たしかに、アザレウスと共に社交の場に出ることも多くなったが、オセルティス伯爵家の娘と王弟が恋仲だとか、ふたりの間に縁談があるとか本気で考えている人はそう多くはないだろう。

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