本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 最後まで言わせることなく、リティスは断った。どうせ、もう一度婚約してほしいとかなんとか言うつもりだったのだろう。
 言う前に言葉を遮られたエデルは、情けない顔になる。

「私と婚約しても、あなたにメリットはありませんよ。オセルティス伯爵家の名は、地に落ちたのですから」
「そんなことはない! 君がいるじゃないか。君ならわかってくれるだろう。俺の立場を」
「わかりません……最初から、エデル様は私なんて見ていなかったではないですか」

 最初の顔合わせの時、エデルはリティスになんて言ったのか忘れてしまったのだろうか。エデルに伯爵位を継がせるようにしろ、と命じてきたではないか。

「そ、それにしても、だ。これから俺がどうなるのか心配だろう」
「いいえ? 少しも心配ではありません……そうですね、婿入り先がなくなったのはお気の毒だと思いますが」

 ついでに言えば、宰相府もこれから大きく変わることになる。前宰相の覚えがめでたかった――途中でポイ捨てされたにしても――エデルがこれから宰相府でどんな扱いを受けることになるのか。
 彼の前途は多難そうだけれど、リティスが彼にしてあげられることはない。
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