本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「エデル殿は、お前が最初からお気に召さなかったそうだからな――彼の心を掴んでおけなかったお前を、本当ならば叱らなければならないのだろうが」
自分は座り心地のよさそうな椅子に腰を下ろした父は、じっとリティスを見ている。父のまなざしの冷たさに気づいていないふりで、リティスは視線を落とした。
「さて、お前はこれで我が家のお荷物となったわけだ」
同じ両親から生まれたというのに、リティスとフィノラの扱いの差はこんなところでも出る。
ここにいるのがフィノラだったならば、父は立たせたままになんてしない。きちんと椅子を用意したはずだ。
いや、フィノラと話をするならば仕事部屋ではなく、明るいティールームで、母も一緒に話をするか。この家では、リティスだけが不要な存在だ。
「お前の嫁ぎ先を見つけようとは思っているのだが、なかなか難しそうでな――フィノラの縁談は、誰に嫁がせようか悩むほどだというのに」
フィノラには多数の縁談が来て、リティスにはまったく来ないのは、フィノラはまだ婚約しておらず、リティスは婚約しているからではないだろうか。