本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 婚約している娘に見合いの申し込みが届いたらびっくりである。とまあ、これもまた口を閉ざしておく。

「それでだな、お前にはまあいろいろ仕込んだわけだ」

「はい、お父様」

 父の言葉に嘘はない。

 フィノラは華やかに着飾り、社交に精を出す一方、リティスは家にいることが多かった。そのため、父は何かとリティスを呼びつけ、仕事をさせていた。

 その日やるべき仕事を終えてしまえばうるさいことは言われなかった――リティスに無関心だった証拠である――から、リティスも手伝いを言いつけられれば、逆らわずに手伝った。

 やるべきことをとっとと終えて、図書室に閉じこもる方が社交よりも大切だったのである。

「お前には、領地の管理をやらせることにした。ありがたいと思え」

「……領地の管理、でございますか?」

 伯爵家の領地は、一週間以上旅をしなければならないほど、王都から離れた場所にある。そのため、めったに領地に戻ることなく代官に任せきりだ。
「ああ。ここ何年か領地に戻っておらんからな。使用人達が手抜きをしていないか、確認しろ。ちょうどいい縁談が見つかったら、呼び戻してやる」

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