本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 これらの写本は、地下の書庫に収められ、今後の研究に役立てられるらしい。

「……リティス。今日の仕事は、そろそろ終わりにしないか?」

 と、声をかけてきたのはアザレウスだ。

「そうですね、ちょうど一区切りついたところですし」

 写本の作業には集中力が必要だから、長時間続けるのは難しい。リティスは、作業中の本や道具を指定の手順で片づけると、アザレウスの方に向き直った。

「……あら、今日は王太子殿下と王女殿下はどうなさったのですか?」

 リティスと昼食を取る時には、いつも子供達を連れてくるのに今日はアザレウスだけだ。珍しい。

「……あとで来る」

 そういうものかと納得し、アザレウスと並んで外に出る。

 リティスとアザレウスが行動を共にするのは、もう皆見慣れた光景だ。周囲の人達もふたりが並んで歩くのを微笑ましく見守ってくれているようだ。
 アザレウスがリティスを連れてきたのは、美しい花が咲き乱れる庭園だった。テーブルや椅子が出され、食器が置かれているということは、今日の昼食はここなのだろう。
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