本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「リティスお姉様、僕、新しい魔術を使えるようになったよ。見てくれる?」

「もちろん、かまいませんよ」

 アザレウスとの結婚が正式に決まったから、子供達はリティスを「リティスお姉様」と呼ぶようになった。ふたりとアザレウスの関係は叔父と甥、姪なのだが、リティスのことは「お姉様」で決定らしい。

「なんで俺は『叔父様』でリティスは『お姉様』なんだ」

 と、アザレウスがイレクスをつついていたのを、リティスはしっかりと見ていた。

 子供達と、アザレウスの仲も良好である。

「さあ、お茶の時間にしましょうか」

 リティスが声をかけると、子供達はぱたぱたとこちらに駆け寄ってくる。

「あたくち、お手伝いする!」

「僕も!」

 テーブルに、ティーセットを並べていくのは、子供達の仕事。リティスはお湯を沸かして、ティーポットやカップを温める準備。

「おやつを持ってきたぞ!」

 扉を開けて入ってきたのは、アザレウスだ。今日の仕事は、もう終わりのようだ。

 彼の持っているバスケットからは、甘い香りが漂っている。焼き立てパイの香りだ。

 アザレウスは、リティスに満面の笑みを向けてくれる。
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