本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 と、乗り合わせた乗客がクッキーをくれる。お礼を言ったリティスは、お返しに干した林檎をプレゼント。これもトランクに詰めてきた非常食だ。

「おねーちゃん、魔術使えるの?」

「使えるわよぉ。見ちゃう? 見ちゃう?」

 魔術を見たことがない子供が、目の前でわくわくとした様子を見せれば、リティスもウキウキだ。あの家から出てきた解放感も間違いなくそこに加わっている。
「本物じゃないけど、妖精を見せてあげるわね!」

 使ったのは、幻影を見せる魔術。
 解放された気持ちそのままに、馬車の中で魔術を使う。

「……わあ!」

 リティスが頭の中で思い描いた通り。

 指を振れば、妖精が姿を見せて、子供の前でダンスを踊る。キラキラと目を輝かせている様を見るのは楽しい。

「すごいなあ」

「魔術ってこんなものもできるのか」

「いいもの見せてもらったから、これもお食べ」

 乗客達は手を叩いてリティスを褒めてくれる。キャンディや焼き菓子が次々差し出され、それらもありがたくいただいた。
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