本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「魔術師団長! この子、治癒魔術が使えるから手伝ってくれるそうです!」

 と、リティスと話をしていた騎士が大声を上げた。

 少し離れたところで、仲間の手当てをしていたらしいローブの男性がこちらに向かって歩いてくる。

(……偉い人じゃない!)

 リティスは、心の中で悲鳴を上げた。

 短く調えた銀髪に、青い目。この国の王族の特徴である。

 いくらリティスが社交の場に出る機会はなかったと言っても、自分の国の王族の顔ぐらい覚えている。魔術師が身に着けるローブを羽織っているとなればなおさらだ。

(……ひぃぃ)

 心の中で悲鳴を上げた。

 リティスの目の前に立っているのは、アザレウス・ディスカリア。

 王弟にして、魔術師団長である。

 十七歳のリティスより、十歳年長だったはず。年齢に見合った落ち着きを持った男性だ。

 切れ長の青い目に浮かんでいるのは不信感、だろうか。秀でた額、通った鼻筋。無表情だからか、人形のように見えるほどの整った容姿。
 その目が、じっとリティスを見ている。

「治癒魔術が使える、と?」

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