本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「あ、怪しい者ではありません……って言っても、信じていただくのは難しいでしょうけれど! リティス・オセルティス――オセルティス伯爵家の娘です」

 身に着けているのは動きやすい服装だが、スカートを摘まみ、貴族令嬢としてのマナーをきちんと守ってご挨拶。

(……って、伯爵家の馬車を使ってない段階でまずかった?)

 普通、貴族令嬢は乗合馬車で移動しない。移動するときだって、シルクのひらひらしたドレスを着用する。

 だが、今のリティスの服装は、ちょっと裕福な庶民が身に着ける品と大差ない。見て見ぬふりはできなかったけれど、もしかして、信じてもらえないだろうか。

「……見覚えはある」

「え?」

 この国に貴族令嬢が何人いるのか、この人は把握しているのだろうか。しかも、社交の場にはあまり出ないリティスに見覚えがあるらしい。

 天才というのはどこにでもいるのだな、と思いもかけないところで感心した。

「それで、オセルティス伯爵令嬢。手伝ってもらえるのか?」

「あの方にも申し上げましたが、独学です。もしかしたら、皆様の使うものと違うかもしれません。それでもよければ」

「……助かる」

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