本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「なに、馬車には空きがある」
「では、ありがたく乗せていただきます」

 押し問答になりそうだと判断したので受け入れた。本当は歩きたかったけど……と思いつつ、馬車に乗せてもらうことになる。

 馬車は、進行方向に向かって座るように一列に四人座れる座席が四列並んでいる。最後尾が一番いい席のようでそこを勧められた。

 隣に、当然のような顔をしてアザレウスが乗り込んできたのには、一瞬肩を強張らせてしまったが。

「オセルティス伯爵令嬢は、どうしてラングレーに行くんだ?」

「領地に戻るところでして。せっかくだから、旅をしてみたい――と思って、乗合馬車を使わせてもらったんですよ」

 父が馬車を出してくれなかっただけだが、そう言っておく。ここで何かあって、生家に面倒なことを言われても困る。

「……そうか。では、魔術はどこで習った?」

 この人、質問が多い。

 だが、それは心の中でのつぶやきにとどめておく。もちろん、表情にも出さない。

「曽祖母の遺した本が屋敷にあったんです。魔力があるのもわかっていましたから、独学で学びました」

「王宮では、一度も話に聞かなかったが」

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