本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 執事は帳簿の専門家というわけではないし、日々忙しくしている。気づかなくてもしかたない。

「代官も上手にやっていたもの。あなたが気づかないぎりぎりのところを狙っていたのでしょうね」

 もし、もう少し金額が大きかったら、執事ももっと早くおかしいと思ったはず。だが、代官は小さなごまかしはしても、金額が大きなものはきちんと計上してきた。
 金額が大きくなってきたのは、ここ一、二年のことだ。

「――終わり、と。あとは、報告書をお父様にお送りして、新しい代官を選ばないとね」

「私も責任を取らねばなりません」

「あなたは、お父様から多少叱られるだろうけれど、それで十分だと思うわ。それに、本来ならばお父様がしっかり見ないといけないんですからね」

 数か月に一度、父のところに送られてくる帳簿を確認するのは父の仕事だ。

 だが、父でさえもおざなりに確認するだけだったのだから、領地の屋敷の管理を任されているだけの執事が必要以上の責任を感じなくてもいい。

 もし、リティスに任せてくれていたらもう少し早く見つけられただろうけれど、父は大きな金額の仕事はリティスにはやらせなかった。

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