本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 いずれにしても、一度生家には戻ったほうがいいのだろう。父に、領地で発生した問題について報告をしなければならない。

 ――それに。

(王都の書店に行きたいと思っていたのよねー!)

 領地にも書店はあるが、やはり王都の書店とは品ぞろえが違うし、注文してもすぐには届かないのだ。

 王都の大きな書店で、思う存分新刊を買いあさりたい。

 戻る理由が王宮からの呼び出しに応じるためではなく、書店に行きたいからというのはどうかと思うが、いずれにしても逃げられないのだ。

 書店に行く機会を逃したくない。



 翌日。リティスは早々に領地を出発した。

 ここに来た時同様、荷造りには時間はかからない。必要なものをぽいぽいとトランクに投げ込めば終了である。

「リティスお嬢様、またのお越しをお待ちしております」

「ありがとう。私も、ここでの生活楽しかった。ええと、帳簿と、新しい予算案。それに新しい代官の任命については、しっかりお父様にお話をさせてもらうわね」

「よろしくお願いいたします」

 生家を出発する時には、執事と家政婦しか見送りに来なかった。だが、ここでは違う。

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