本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「お嬢様、お気をつけてください」

「また、お目にかかれるのを楽しみにしていますね!」

 屋敷で働いている全員が見送りに来てくれた。そして、温かな言葉をかけてくれる。

 リティスがここで過ごしたのは、さほど長い時間ではなかったというのに。

 来た時には、乗合馬車を乗り継いだのだが、今回は違う。伯爵家の馬車ではないが、父が馬車を手配していた。

 屋敷の前まで来たのはその馬車だ。

(乗り心地は、悪くはないわね……)

 伯爵家で使っている馬車と同じぐらいの品質の馬車のようだ。乗合馬車より、格段に乗り心地はいい。

 一度、ラングレーで休憩を取る。馬車から降りたところで、リティスは声をかけられた。

「失礼ですが、リティス・オセルティス伯爵令嬢ですか?」

「……ええ、そうですけれど」

 リティスを呼び止めたのは、騎士団の制服を身に着けた男性だ。

 名前は知らないが、彼の顔には見覚えがある。先日、魔物討伐隊にいた青年だ。

 彼は、リティスに丁寧に一礼した。

「先日はありがとうございました。お礼を申し上げます」

「いいんですよ、私は私にできることをしただけなので」

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