本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 わくわくしているリティスを牽制するように、父は渋った。

 エデルとの婚約が破棄になったとはいえ、リティスを売り飛ばす相手を探しているところだ。
 今までは、父に堂々と逆らうのは得策ではないと思っていた。

 だが、王宮図書館の職員になれば、父の言うことを聞く必要もなくなる。それが、嫌なのかもしれない。

「リティス嬢、どう思う? 世の中には出していない本や、出せない本がたくさんある。あなたが、それらの解読を手伝ってくれれば、この国の繁栄にも繋がると思うのだが――それに、王宮図書館の職員になれば将来も安泰だ。あとは、君の判断次第だ」

 アザレウスは、じっとリティスを見ていた。

(この家から出ていこうとは思っていたけれど、王宮図書館の本を読めるって機会は滅多にないのよね)

 幸せになれそうもない婚姻を押し付けられるのであれば、このまま逃げ出してしまおうと思っていた。

 曽祖母のトランクさえあれば、リティスはどこでだって生きていける。

 でも、王宮図書館に行けば、今まで読んだことのない本に触れる機会を得られるわけだ。

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