本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 それに、王宮で働く者は高給取りと言われている。ドレスや宝石を買えるほどではないだろうが、そもそもそんなものに興味はない。生きていくだけの給金を得られれば充分だ。

「――行きます」

「リティス、本当にいいのか? 王宮図書館だぞ。重労働になるんだぞ」

 リティスが、アザレウスの提案を受け入れるとは思っていなかったらしい父は、なんとかリティスを引き留めようとした。

 もしかしたら、今までの人生の中で一番、父と会話しているかもしれない。

「あら、お父様。今は婚約者もいないし、問題ないと思うわ」

 リティスがそう言うと、父は言葉に詰まってしまったかのように口を閉じた。エデルとの婚約の解消に父も同意したのだから、今さらうるさいことは言わないでほしい。

「では、来てもらえるか? 王宮には職員の寮もある。そこに住んでもらうことになるが」

「問題ありません。今から殿下に同行することもできます」

「いくらなんでもそれは急すぎるだろう」

 アザレウスは笑うが、荷ほどきもしていない。

 自室に戻り、ブラシ等今朝使ったものを放り込めば準備完了である。

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