本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
「王太子殿下、王女殿下。お初にお目にかかります。リティスと申します。ここで、古い書物の解読の仕事をしております」

 丁寧に頭を下げる。

 リティスにも王宮図書館の職員達が身に着ける制服のローブが支給されている。だから、一目見ただけで職員であることは、子供達にもわかるはずだ。

「あのね、あたくち、お兄様の心を射止めた方にお目にかかりたかったの」

 セリカ王女は、まだ五歳だ。なのに、言葉遣いはしっかりしている。内容の方も、年齢を考えれば驚くほど大人びている。

 根本的に、リティスはアザレウスの『いい人』ではないという間違いはあるけれども。

「セリカ!」

 慌ててアザレウスが止めに入るが、セリカの目はキラキラと輝いている。好奇心でいっぱいの目で見つめられ、リティスはセリカには正面からきちんと返そうと思った。

「王女殿下、私は、王弟殿下の『いい人』ではありません。ここで、私の解読している古文書に、殿下は興味をお持ちなのです」

「……そうなの? あたくち、そうは思わないけれど」

< 87 / 288 >

この作品をシェア

pagetop