本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 割と流ちょうに話をしているのに『わたくし』が『あたくち』になっているのが微笑ましい。口元が緩みそうになるのを、懸命に抑えた。

「セリカ、そこまでだ」

 背後からセリカの口を塞いだアザレウスは、ひょいとセリカを抱き上げた。

 セリカは足をばたつかせたが、口を塞がれたことでこの話はここまでだと認識したようで、むっとした顔になりながらも口は閉じた。

「ここが、王家の宝物が集まっている場所なんだね」

 イレクスは、興味深そうに周囲を見回している。

 こちらも、八歳という年齢を考えれば、驚くべき落ち着きぶりではないだろうか。

「さ、ふたりとも。リティス嬢と食事をしたかったのだろう? なんて言うんだった?」

 と、セリカを床に下ろしたアザレウスは、穏やかな口調でふたりをうながした。リティスの前に並んで立った子供達は、リティスの顔を見上げる。

「リティス嬢、僕達と昼食はいかがですか?」

「あのね、あたくち、チョコレートパイを焼いてもらったの。リティス嬢も、めちあがりませんか?」

 口々に、子供達は誘いをかけてくる。

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