本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 リティスが選んだのは、葉物野菜とベーコンとトマト、それにチーズも挟まっているボリュームのあるもの。

(集中しているから、お腹が空くのよね……)

 集中している間は空腹もさほど感じず、休憩を抜きがちなのだが、こうやっていったん落ち着く体勢に入ると、急に空腹を覚えるから不思議なものだ。

「……美味しいです、殿下。ありがとうございます」

「料理人達も喜んでいるよ。毎回バスケットが空になるから」

 そう言えば、貴族令嬢はあまりガツガツ食べないものだったな、と改めて思う。

 でも、今さらだ。だって一度感じてしまったら、空腹を我慢するのは難しい。

「ねえ、リティス嬢。魔術ってどうやったら使えるようになるかな?」

「魔術ですか? 王太子殿下は、魔術に興味をお持ちなのですか?」

「うん。でも、才能がないみたいで」

 大きな口を開けてサンドイッチを頬張りながらも、イレクスはしゅんとした様子を見せる。

 身近なところに達人がいるのだから、彼に教わればよさそうなものなのに。アザレウスの方に目を向けたら、彼は首を横に振った。

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