本好き地味令嬢は、自由を満喫していますので。~今さら助けてくれと言われても、二度と家には戻りません!~
 使っていない部屋のうち一室が、イレクスとの勉強の場に変えられた。

「……できた!」

 今、イレクスが覚えようとしているのは、光を作る魔術陣だ。

 リティスも最初はこれから始めた。

 ぼんやりとした光を作るだけで、危険度の低い魔術だ。描き出された魔術陣を見て、きちんと書けているかを確認する。

「……これでできる?」

「いいえ、ここの線が切れていますし、この呪文がきちんと書けていません」

「難しい……」

 まだ幼いので、イレクスの集中力はさほど続かない。

 昼食前の一時間だけがリティスの講義に当てられているのだが、始めて十分もしないうちに頭を抱え込んでしまった。

「私がお手本を見せますね……こうです!」

 自分用に用意していた板に、リティスは魔術陣を描き出して見せる。

 何度も何度も描いた魔術陣なので、リティスにかかれば一瞬だ。

「おお、すごい! リティス嬢はすごいねぇ」

「だから、お兄様もリティス嬢が好きなんだと思うわ!」

 素直にリティスの腕前に感心してくれるイレクスと、なんだか違う情報を口にするセリカ。

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