【短編】雪空ひとこと
本当に久しぶりかもしれない。
私たちが最後に一緒に帰ったのは、何年前のことだろうか。
自然と浮き足立つ。
ふと、千冬が私に向けて呟きを零した。
「陽鞠は今日、何の日が覚えてる?」
本当は、これを言って欲しかったから残ったのではないだろうか。
なんて。
千冬は、やって欲しいことを遠回しに伝える癖がある。
その癖がまだあることの可愛らしさと、やっと言えるんだという安堵。それで私は、「ふふっ」と柔らかい笑みを見せた。
流石にむっと来たのか、千冬はさっきよりも大きく拗ねた声を上げた。
「覚えてないならいいよ!」
すぐに「覚えてるよ」と首を振る。
だって、ずっと言いたかったのだから。
「お誕生日おめでとう。千冬」
その言葉に合わせたかのように、微量の雪が降り始める。
明日には、少しでも変化はあるのだろうか。
期待を胸に、そっと私たちは空を見上げた。
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