愛のち晴れ 海上自衛官の一途愛が雨女を幸せにするまで
 
「重光さん、祥子さん。これ、私たちからのほんの気持ちです」

 差し出された包みを受け取った重光さんと祥子さんは、それぞれに大きく目を見開いた。

「もしかして、これ、誕生日プレゼントか?」
「ああ。陽花と一緒に選んできたんだ」
「誕生日のシゲはともかく……私にも?」
「はい。ぜひ、開けてみてください」

 私が頷くと、ふたりは顔を見合わせたあと、ふたたび手の中の包みに目を落とした。
 航さんが買ったプレゼントは、重光さんが。そして私が買ったプレゼントは、祥子さんの手の中にある。ふたりは一呼吸置いてから、慎重に包みを開いていった。

「これは……すごいな」

 先に声を漏らしたのは重光さんだった。その手には、深い紅色のラベルが印象的なヴィンテージワインが持たれていた。

「わぁ。このグラス、とっても綺麗ね」

 続いて祥子さんが開けた包みの中からは、繊細なデザインが美しいペアグラスが現れた。

「こんなに素敵なもの、本当にもらってもいいの?」

 祥子さんの問いに、私はもう一度頷いた。
 するとふたりはふたたび顔を見合わせて、嬉しそうに口元をほころばせた。

「ふたりには、このグラスでワインを飲みながら、幸せな時間を過ごしてほしい」
「これからもずっと元気に、仲よしのふたりでいてくださいね」

 航さんと私がそう言ってほほ笑むと、祥子さんは瞳を潤ませ、重光さんは言葉を噛みしめるように頷いた。

「陽花ちゃん、航……本当にありがとう」
「ふたりに祝ってもらえて、私たちは幸せだわ」

 窓の外では、波の音が静かにリズムを刻んでいる。ふと隣を見れば航さんも幸せそうにほほ笑んでいて、胸に温かな明かりが灯ったような気持ちになった。
 重光さんも祥子さんも喜んでくれているし、パーティーは大成功だよね。
 それもこれもすべて、航さんが声をかけてくれたおかげだ。
 航さんと一緒にお祝いができて、本当によかった。
 と、胸を撫で下ろした私が、テーブルの上のジュースに手を伸ばしたら──。

「俺はふたりが結婚するのを見届けるまで、ずっと元気に頑張るからな!」

 不意に重光さんが、思いもよらないことを言いだした。
 思わずピタリと動きを止めた私は、壊れたロボットのように固まってしまう。

 
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