愛のち晴れ 海上自衛官の一途愛が雨女を幸せにするまで
「俺は、航なら安心して陽花ちゃんを任せられるよ」
「し、重光さん、何言ってるんですか?」
驚きすぎて、声が上ずってしまった。
航さんのほうを見ることができない。つい目を白黒させていたら、今度は祥子さんが口を開く。
「あら、だって一緒にプレゼントを買いに行ってくれたってことは、ふたりはもう、そういう仲なんじゃないの?」
そういう仲って、どんな仲!?
当たり前のことのように言われて、私はわかりやすくうろたえてしまった。
「結婚式には、絶っっっ対に呼んでくれよな〜」
「まっ、待ってください、違います! 私たちは別に、そういう仲とかじゃありませんから!」
あわてて否定すると、重光さんと祥子さんは「え〜?」と不満げに口を揃えた。
でも、そんな、納得いかないって顔をされても!
変な誤解をされたら航さんに迷惑がかかるから、ふたりにちゃんと説明しなきゃ。
「航さんが重光さんと再会するのは久しぶりで、好みとかは私のほうが詳しいだろうからって、一緒に買いに行っただけですから!」
「あら、そうなの? 航くん」
祥子さんが航さんに話を振る。私は祈るような気持ちで、隣にいる彼を見た。
肝心の航さんは顎に手を当て、重光さんに続いて思いもよらないことを口にする。
「いや。俺はプレゼント選びを口実にして、陽花と出かけたかっただけだよ」
開いた口が塞がらない私とは裏腹に、航さんは涼しい顔をしていた。
え……冗談、だよね?
「ちょっと待て、航! それじゃあ俺のことは、二の次だったのか!?」
何も言えない私の代わりに噛みついたのは、重光さんだった。
「ハハッ、そうなるな。ごめん、重光さん」
「おいおいおい~、許さんっ! 今日は倒れるまで飲め!」
「ダメだよ、俺は車だから飲まないって」
賑やかな声が、深夜の店内に響き渡る。私は少年のような笑顔を浮かべる航さんを、呆然としながら見つめてしまった。
頭は思考停止中なのに、心臓が跳ねるように脈打ち、勝手に息が浅くなる。