【マンガシナリオです】クールな彼の無自覚な求愛

君と乗り越える

悟に会いに行く日。
○新幹線車内、朝
窓際の席の紗矢、隣に渉。
紗矢(元々、お守りの彼である悟くんに会えることを願っていた私。去年の夏、再会することができ、神崎の双子の兄だと知った。悟くんに会ったからこそ、自分が神崎を好きだと気づけたんだよなぁ。こうして神崎の彼女として、悟くんに会いに行く日が来るなんて…)
「神崎は行ったことあるんだっけ?」
渉「今、住んでるとこはないかな」
紗矢「そうなんだ。楽しみだね!」
渉「…うん」

駅に着き、迎えに来た悟が2人に手を振る。
悟「紗矢ちゃん、久しぶり!」
紗矢「悟くん!久しぶり!」
悟「まさかほんとに来てくれるなんて、すごく嬉しい!車停めてるから、行こっか」

駐車場。荷物をトランクに乗せる。
悟「紗矢ちゃん、助手席どーぞ!」
紗矢「あ、ありが…」
渉「待って」被せ気味。
悟「ん?」
渉「一ノ瀬は俺の隣に座るから後ろでいい」
紗矢(!?あ、待って。そういえば、悟くんに付き合った事言ってないよね?今ので気付いたんじゃ…)
悟「横に誰もいないで運転するの寂しいじゃん!ほら、紗矢ちゃん」
紗矢「あ、うん」
渉を気にしつつ助手席に。
渉「…。」不満そうに後ろの席に座る。

観光スポットを巡る3人のシーン。紗矢の隣は悟が常にいる。笑顔の紗矢と悟、クールな表情の渉。

○ご飯屋、夜
夜ご飯を食べる3人。
悟「今日は1泊するんだよね?」
紗矢「うん」
悟「ウチに泊まればよかったのに。あ、紗矢ちゃん、渉が部屋に来ても入れないようにね!」意地悪な笑顔。
渉「…いや、同じ部屋だから」
悟「…え!?」
紗矢(そうなるよねー…)
悟「もしかして…」
渉「うん、付き合ってる」
悟「えー!?それ早く言ってよ!…わぁーおめでとう!」
紗矢「ありがとう、黙っててごめんね」
悟「ううん!去年再会した日にした勘違いが、現実になっててなんか嬉しい!」
紗矢(彼女だって勘違いされたの懐かしい)
悟「何考えてるか分かんないこと多いと思うけど、渉のことよろしくね!」
紗矢「うん」

○ホテル
ホテル前まで送ってもらう。
車から荷物下ろす。
紗矢「送ってくれてありがとう!」
悟「いえいえ!今日は本当にありがとね!楽しかった」
紗矢「私たちも楽しかったよ!またゆっくり会おうね」
悟「うん。渉、紗矢ちゃんと幸せにね」
渉「うん」
手を振り車を見送る。

客室に入る2人。ダブルベッド。
荷物を置き、窓際のソファに座る。
伏し目がちな渉を見る。
紗矢「…神崎、元気ないけど、疲れた?」
渉「疲れてはない」
紗矢「?」
渉「また悟に会えてよかった?」
紗矢「え?う、うん。…なんでそんな事聞くの?」
渉「好きだったんでしょ?悟のこと」寂しげ。
紗矢「…好きっていうか…勝手に運命の人って勘違いしてただけで、今は何とも思ってないよ!友達でもあるし、神崎のお兄ちゃんでもあるし、人として素敵だと思うけど恋愛じゃないよ」
渉「…よかった」ぼそっと
紗矢「…。」
渉「…正直、不安だった。やっぱり悟がいいって思うんじゃないかって。俺は悟みたいに話すの上手くないし、いつだって笑顔でみんなに優しいわけじゃないし…」
ぐっ、渉の顔を両手で挟み、自分に向かせる。
紗矢「ねぇ、怒るよ!?」
渉「!!」驚く。
紗矢「確かに最初に神崎に声をかけたのは、悟くんがきっかけだった。…だけど、私が好きなのは神崎だよ?私の好きって…そんなに信用ならない?」悲しげな表情。
ぐいっ、紗矢を抱きしめる。
渉「ごめん。おんなじ見た目だし、中身比べられたら勝てないって思ってた」
紗矢(双子だからこその不安があったのかな)
「私は見た目だけじゃなくて、神崎の中身を好きになったんだよ。付き合ってからも、どんどん好きなってる。神崎の良さいっぱい知ってるよ」
顔を見つめる。
紗矢「私の運命の人は神崎なんだから」笑顔。
渉「…ありがとう」
キスをする。
紗矢「大好きだよ」
再びキス。徐々に濃厚なキスに。
渉「こっち来て…」
ベットに座りキスの続き。そのままゆっくり押し倒す。
照れながら身体を重ねる2人。
紗矢(まだ始まったばかりのこの恋。色んなことが起きるだろうけど、どんな不安も困難も2人で乗り越えていこう)
優しい顔で見つめ合う。
渉「好き…」
キス。


4月。
○電車内、朝
手を繋ぎ電車に乗っている紗矢と渉。
紗矢(2年生になった私たち。と言っても特別何か変わるわけではない)
繋がれている手を見る。
紗矢(…変わったことといえば、春休みに悟くんに会った日以来、神崎の愛情表現が増している)

電車を降り、大学に向かい歩く2人。
紗矢「誕生日会、楽しみだね!」
渉「だね」

○花見デート、3月下旬、過去回想
紗矢「え、神崎も4月生まれなの!?」
渉「うん、25日」
紗矢「うそ、近!私、20日だよ!?じゃあ、一緒にお祝いできるね!」


数日後。
○大学内のコンビニ
商品を選んでいる玲香。
成田「これにしたら?」
急に横に来る。
玲香「びっくりしたぁ。…じゃあ、これにする」

買い終え中庭に移動した2人。
玲香「サークル、1年生入りそうなの?」
成田「何人か見学来てたかな。藤野先輩目当てのマネージャー希望の女の子もいたよ」
玲香「マネージャー募集してたっけ?」
成田「ううん。勝手に言ってきてるだけ」
玲香「モテモテだね、先輩」
成田「あれで彼女いないのが余計モテるんだよねぇ。藤野先輩とかどう?」
玲香「え、私?いやいや、カッコいいと思うけど、好きにはならないよ。そもそも私、彼氏いるし」
成田「え!?そうなの!?」
玲香「言ってなかったっけ?」
成田「初耳だよ。同じ大学?」
玲香「ううん。高校の先輩で、県外の大学に通ってるから、今は遠距離なの」
成田「へぇ、そうなんだ。遠距離だと不安にならない?」
玲香「ならないよ。だって、不安になる時間がもったいないじゃん」
成田「…みんな良い恋してるなぁ」


25日。
○渉のアパート、夜
誕生日会当日。
テーブルの上に料理が並ぶ。
キッチンでグラスにカクテルを作る紗矢。
渉「綺麗な色のカクテルだね」
紗矢「お店で何回か作ったことあって、絶対これでお酒デビューしたいって思っての」

テーブルにつく2人。
紗矢「じゃあ、乾杯しよ!」
渉「乾杯」
飲む。
渉「めっちゃうまい」
紗矢「美味しいねこれ。でも飲みすぎないようにしないとね」
(特別な20歳の誕生日を神崎と祝い合えて本当に嬉しい。今日のお酒の味を一生忘れないだろうな)

料理を食べ終え、紗矢の作ったホールケーキにロウソクを立てる。火をつける。電気を消す。
紗矢「お誕生日おめでとう」
渉「誕生日おめでとう」
紗矢「せーの…」
2人「ふぅー」ロウソク消す。
微笑み合う。

片付けを終え、まったりする2人。
紗矢の目に図面。
紗矢「あれって製図?」
渉「あ、うん。見る?」
家の平面図の書かれた図面をテーブルに広げる。
紗矢「わぁ、すご!」
渉「これは練習のやつなんだけど」
紗矢「細かいね。ここが玄関で、ここがキッチン…」
興味津々で図面を見る紗矢。
渉「俺、人を幸せにする家や建物を設計するのが夢なんだけど…」
紗矢の手を握る。
渉「…いつか一ノ瀬と暮らす家を設計したい。その願いが夢に加わった」
驚く紗矢。
渉「その夢が叶えられるように、一ノ瀬のこと何年経っても守るし、幸せにするから」
目に涙がたまる紗矢。
紗矢「ありがとう。私も神崎のこと幸せにする。神崎の考えてくれた家のキッチンで、美味しいご飯たくさん作るね!」
渉「ありがと。…一ノ瀬、愛してる」
見つめ合いキス。

紗矢(お守りが出会わせてくれた運命の彼は、クールな顔でたくさんの愛を捧いでくれる。私の男運の悪さは、この恋のためだったんだ!)
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