宵にかくして




「おれは納得してないけど」

 

そんな私の沈んだ空気を切り裂くように、冷ややかな声が静かな空間に響いた。じっと真正面から瞳を合わせてくる不和くんは、綺麗な顔を不快そうに歪めて、冷徹な視線を注いでくる。
 

 
「桜くんの親戚だか何だか知らないけど、どこの馬の骨かも分からない奴となんて一緒に住めない」
 
「、」
 
「桜くんも桜くんだろ。いくら親戚だからって、こんなひ弱そうなチビをウォーデンの寮に入れるなんて。
……足手纏いになるだけだし、何より信用できない」
 


100%の拒絶に、傷つくよりもそうだろうな、と納得してしまう。全て不和くんの言う通りで、学園で圧倒的な権力と人気を誇る彼らからしたら、突然現れた私を信用なんて出来るわけない。



とくに不和くんは、芸能界という煌びやかな世界に足を踏み入れているひとで、……一見華やかなように見えて脆いその世界で、"疑う"という行為は当たり前のことなんだろうな。



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