宵にかくして
『咲菜なら大丈夫だよ』
な?……って微笑みながら、丁寧な指先で頭を撫でてくれるから、きゅん〜…っと胸の奥が高鳴って、心臓を纏っていた熱が頰まで回ってしまう。
温かく響く言葉なのに、あまりにも綺麗な瞳で、仕草で、真っ直ぐと伝えてくれるから、自分の中のありもしない感情を掬ってしまいそうになる。
純粋に気遣ってくれる宵宮さんに、不釣り合いなりに、せめて内面だけは相応しい後輩でいたいのに……!
『ふ、また百面相してる』
『うう、煩悩を追い払っています……』
『お前に煩悩とかあるの?』
─────……その夜の帰り際、宵宮さんに引き止められて。
『何かあったらすぐに連絡しろよ。約束な』
……宵宮さんはそう言ってくれたけど、なるべく私の事情で宵宮さんの手を煩わせたくない。
プライベートでも学園でも多忙な宵宮さんに少しでも安心してもらえるように、きらきらとした明るいお話を届けるのが私の合宿の目標だ。


