フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
大失敗飲み会
はじまりは三日前の昼下がり。突然伊東が経理課にやってきたことだった。
「お疲れさまです、藤嶋さん。ちょっと急で恐縮なんですが、今日の夜って空いてますか? 営業部の飲み会があるんですが、よかったら参加していただけませんか?」
あまりに唐突かつ意外な誘いに、楓は思わず自分の後ろを振り返る。別の人に言っているのだと思ったのだ。
「藤嶋さん、藤嶋さんが誘われてるんだよ……!」
山口にがくがくと揺さぶられて、ようやく自分が話しかけられていると把握する。
けれど頭の中は「?」でいっぱいだ。
飲み会に? なんで私が?
わけがわからず目をパチパチさせていると、伊東が山口とも楓ともなく事情を説明する。
つい最近、伊東が担当していた大手商業施設東京クラフトとの取引開始が無事に成立した。それを祝う内々の飲み会を急遽開くことになったのだという。
数字に追われる営業部では、社員の士気を保つためたびたびこういった会が催されているらしい。
その件について楓は経理関係の書類の作成を頼まれることがよくあった。
とは言っても、ひたすら言われた通りのものを正確に作成していただけなのだが。
「藤嶋さんには、随分とサポートしてもらいましたから、改めてお礼を言いたくて。部長がとっておきの店に連れていってくれるので、もしよろしければ」
まるでご褒美みたいに彼は言うが、楓は飲み会が苦手である。
アルコールは好きじゃないし、そもそも人がたくさん集まる場所がすべて苦手だ。
業務の合間のちょっとした雑談ですら、なにを話せばいいのやら状態なのに、雑談しかしない場なんて、もうどうすればいいかわからない。
「お疲れさまです、藤嶋さん。ちょっと急で恐縮なんですが、今日の夜って空いてますか? 営業部の飲み会があるんですが、よかったら参加していただけませんか?」
あまりに唐突かつ意外な誘いに、楓は思わず自分の後ろを振り返る。別の人に言っているのだと思ったのだ。
「藤嶋さん、藤嶋さんが誘われてるんだよ……!」
山口にがくがくと揺さぶられて、ようやく自分が話しかけられていると把握する。
けれど頭の中は「?」でいっぱいだ。
飲み会に? なんで私が?
わけがわからず目をパチパチさせていると、伊東が山口とも楓ともなく事情を説明する。
つい最近、伊東が担当していた大手商業施設東京クラフトとの取引開始が無事に成立した。それを祝う内々の飲み会を急遽開くことになったのだという。
数字に追われる営業部では、社員の士気を保つためたびたびこういった会が催されているらしい。
その件について楓は経理関係の書類の作成を頼まれることがよくあった。
とは言っても、ひたすら言われた通りのものを正確に作成していただけなのだが。
「藤嶋さんには、随分とサポートしてもらいましたから、改めてお礼を言いたくて。部長がとっておきの店に連れていってくれるので、もしよろしければ」
まるでご褒美みたいに彼は言うが、楓は飲み会が苦手である。
アルコールは好きじゃないし、そもそも人がたくさん集まる場所がすべて苦手だ。
業務の合間のちょっとした雑談ですら、なにを話せばいいのやら状態なのに、雑談しかしない場なんて、もうどうすればいいかわからない。