フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
今までも、山口と太田秘密の恋愛の寸劇のようなものはともかく、恋愛小説は書いたことがなかった。
恋愛に興味がないわけではないし、恋愛小説を読むのは好きだけど、書く気にはなれなかった。
「そうかそうか、わかったわかった」
伊東がしてやったりというように納得する。
う、なんか微妙にイラつく。
「お子ちゃまに、恋愛小説は無理だったか。なら仕方ないな。無理なことを命じた俺のミスだ。滅多にミスはしないんだが、さすがにお前がそこまでお子ちゃまとは思わなくて」
完全にバカにされて、ムッとなり言い返す。
「そんな風に言うなら伊東さんはわかるんですね? 恋心が」
「愚問だな。俺を誰だと思ってる。わかるに決まってるじゃないか」
「なら教えてください。そしたらそれを私が書きます」
「しょうがないな」
いい大人が、なにをそんなにムキになってるんだと思いつつムキになってしまう。
お前にはこの物語は書けないと言われたら、ストーリーテラーとしては黙ってはいられない。
妄想小説オタクのプライドにかけて、なんとしても完成させてやるという気分になった。
鞄からスマホを取り出し、コトマドを立ち上げる。下書き画面を開きスタンバイして問いかけた。
「人を好きになるとどういう気持ちになりますか?」
伊東がニヤリと笑って口を開いた。
「いいか、誰かを好きになったら……」
——けれど彼はそこで言葉を切る。イラつく笑みがふっと消えて、そのまま眉間にシワを寄せている。
恋愛に興味がないわけではないし、恋愛小説を読むのは好きだけど、書く気にはなれなかった。
「そうかそうか、わかったわかった」
伊東がしてやったりというように納得する。
う、なんか微妙にイラつく。
「お子ちゃまに、恋愛小説は無理だったか。なら仕方ないな。無理なことを命じた俺のミスだ。滅多にミスはしないんだが、さすがにお前がそこまでお子ちゃまとは思わなくて」
完全にバカにされて、ムッとなり言い返す。
「そんな風に言うなら伊東さんはわかるんですね? 恋心が」
「愚問だな。俺を誰だと思ってる。わかるに決まってるじゃないか」
「なら教えてください。そしたらそれを私が書きます」
「しょうがないな」
いい大人が、なにをそんなにムキになってるんだと思いつつムキになってしまう。
お前にはこの物語は書けないと言われたら、ストーリーテラーとしては黙ってはいられない。
妄想小説オタクのプライドにかけて、なんとしても完成させてやるという気分になった。
鞄からスマホを取り出し、コトマドを立ち上げる。下書き画面を開きスタンバイして問いかけた。
「人を好きになるとどういう気持ちになりますか?」
伊東がニヤリと笑って口を開いた。
「いいか、誰かを好きになったら……」
——けれど彼はそこで言葉を切る。イラつく笑みがふっと消えて、そのまま眉間にシワを寄せている。