フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
「なんでそういう発想になるんですか。伊東さん、優秀って言われてるけど嘘でしょう?」
小説を書けというミッションも意味不明だったけれど、今回はその遥か上をいく。
「嘘じゃない。社内報に載ってただろ? 正真正銘、俺がウエムラ商会ナンバーワンだ」
「て、転職先を探さないと……」
「なんでだよ」
「会社の将来が心配だからですよ! とにかく意味不明、お断りします」
伊東がニヤリと笑った。
「怖いんだろう? 俺のことを好きになるのが」
「は?」
「そしたら失恋確定だもんな。だから怖くてチャレンジできない。なるほど、だったら許してやる、小説の件もなしだ。所詮、藤嶋楓には無理だったということで」
「ないないないないない。好きになんてならないもん」
そんなこと、天と地がひっくり返っても、世界が破滅してもあり得ない。
「あり得ないあり得ないあり得ない」
「おい、何回言うんだ、失礼なやつだな」
「だって本当だもん。いいですよ、じゃあデートしましょう! そして、教えてもらいましょうか、恋心とやらを」
そう宣言して立ち上がると、伊東も立ち上がりテーブル越しに睨み合った。
「ただし、本気で好きになるなよ? 好きになったら失恋確定だ。その覚悟でこいよ。ハンカチ用意しとけ」
「望むところですよ。ちゃんとトキめかせてくれるんでしょうね? 恋愛小説どころか『最低リン王子の観察記録』にならないといいですが!」
店員の女性がくすくすと笑っているのもかまわずに、まるで決闘みたいに話が決まる。
こうして楓は生まれてはじめてデートなるものをすることになったのだった。
小説を書けというミッションも意味不明だったけれど、今回はその遥か上をいく。
「嘘じゃない。社内報に載ってただろ? 正真正銘、俺がウエムラ商会ナンバーワンだ」
「て、転職先を探さないと……」
「なんでだよ」
「会社の将来が心配だからですよ! とにかく意味不明、お断りします」
伊東がニヤリと笑った。
「怖いんだろう? 俺のことを好きになるのが」
「は?」
「そしたら失恋確定だもんな。だから怖くてチャレンジできない。なるほど、だったら許してやる、小説の件もなしだ。所詮、藤嶋楓には無理だったということで」
「ないないないないない。好きになんてならないもん」
そんなこと、天と地がひっくり返っても、世界が破滅してもあり得ない。
「あり得ないあり得ないあり得ない」
「おい、何回言うんだ、失礼なやつだな」
「だって本当だもん。いいですよ、じゃあデートしましょう! そして、教えてもらいましょうか、恋心とやらを」
そう宣言して立ち上がると、伊東も立ち上がりテーブル越しに睨み合った。
「ただし、本気で好きになるなよ? 好きになったら失恋確定だ。その覚悟でこいよ。ハンカチ用意しとけ」
「望むところですよ。ちゃんとトキめかせてくれるんでしょうね? 恋愛小説どころか『最低リン王子の観察記録』にならないといいですが!」
店員の女性がくすくすと笑っているのもかまわずに、まるで決闘みたいに話が決まる。
こうして楓は生まれてはじめてデートなるものをすることになったのだった。