フィクションですよね⁉︎〜妄想女子の初恋事情〜
ドキドキ上昇エレベーター
これが噂の…
デート当日は、十二月にしては少し暖かいよく晴れた日だった。
とうきょうスカイツリー駅の東改札を出たところで、人混みを避けて、駅の壁にへばりつきながら、楓は伊東を待っている。
ドキドキするのは、はじめての男性との待ち合わせだからだ。いや"ドキドキする"なんてのは柔らかい表現で本当のところ緊張でガチガチだ。 深呼吸をしながら自分の服装をチェックする。
薄手の白いセーターにギンガムチェックのロングスカート。ショート丈のニットコート、えんじ色のベレー帽。
自分としては精一杯のオシャレをしてきたつもりだ。
早苗にそうするのがデートにおけるマナーだと口を酸っぱくして言われたからだ。
ただ、流行についていけているかは微妙だった。そもそも楓は今の流行りをあまり知らない。
それでも、事前に受けた早苗さんの辛口ファッションチェックでは『お姉ちゃんらしくていいじゃない?』という評価をもらったけれど。
そんなことを考える楓の前を、見覚えのある背の高い人物が辺りに目を配りながら通りすぎる。
それが誰かに気がついて、楓の心臓が飛び跳ねた。
私服ははじめて見るけれど、伊東に間違いない。
ついにこの時が来てしまった………。
まるでピアノかなにかの発表会で自分の名前がコールされた時のような気分になる。しかも全然練習できてなくて失敗するのが目に見えている状況の。
伊東はグレーのハイネックにショート丈のコート、濃い色のデニムを身につけている。
ラフな格好でもスーツの時と変わらず洗練された空気感は健在で、若い女性のふたり組がすれ違いざまに彼に視線を奪われている。
楓は彼に気がついたけれど、彼は楓には気づかずに、人の流れを避けて足を止め、改札の方を見ている。
とうきょうスカイツリー駅の東改札を出たところで、人混みを避けて、駅の壁にへばりつきながら、楓は伊東を待っている。
ドキドキするのは、はじめての男性との待ち合わせだからだ。いや"ドキドキする"なんてのは柔らかい表現で本当のところ緊張でガチガチだ。 深呼吸をしながら自分の服装をチェックする。
薄手の白いセーターにギンガムチェックのロングスカート。ショート丈のニットコート、えんじ色のベレー帽。
自分としては精一杯のオシャレをしてきたつもりだ。
早苗にそうするのがデートにおけるマナーだと口を酸っぱくして言われたからだ。
ただ、流行についていけているかは微妙だった。そもそも楓は今の流行りをあまり知らない。
それでも、事前に受けた早苗さんの辛口ファッションチェックでは『お姉ちゃんらしくていいじゃない?』という評価をもらったけれど。
そんなことを考える楓の前を、見覚えのある背の高い人物が辺りに目を配りながら通りすぎる。
それが誰かに気がついて、楓の心臓が飛び跳ねた。
私服ははじめて見るけれど、伊東に間違いない。
ついにこの時が来てしまった………。
まるでピアノかなにかの発表会で自分の名前がコールされた時のような気分になる。しかも全然練習できてなくて失敗するのが目に見えている状況の。
伊東はグレーのハイネックにショート丈のコート、濃い色のデニムを身につけている。
ラフな格好でもスーツの時と変わらず洗練された空気感は健在で、若い女性のふたり組がすれ違いざまに彼に視線を奪われている。
楓は彼に気がついたけれど、彼は楓には気づかずに、人の流れを避けて足を止め、改札の方を見ている。