皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
妃とは、王族の隣に立つ者としての自覚と覚悟が求められる立場。

今回の試験は、それを肌で思い知らされた。

そして私たちは、誰がその座にふさわしいのか――それぞれの胸の内で答えを探していた。

試験が終わり、どれほど時間が経っただろうか。

一時間ほどした頃、ようやくマリアンヌ皇女と試験官が戻ってきた。

けれど彼らの後ろに、予想外の人物がいた。

アレシオ殿下──。

彼まで私たちの前に姿を見せた。

そのまま講堂の中央に進み出た殿下は、私たち全員に向かって穏やかな口調で言葉を発した。

「今回の模擬執務。私にとっても非常に勉強になるものだった。」

落ち着いた声。けれどその言葉の奥には、確かな手ごたえを感じた者の確信が宿っていた。

殿下は満足している──そう誰の目にも映った。

「中でも一番、私が興味深く思ったのは……マリアンヌ皇女だった。」

その一言で、私の胸の中に鈍い音が響いた。

視線を伏せ、ゆっくりと目を瞑る。
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