皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
次に名前を呼ばれたのは、マリアンヌ皇女だった。

彼女が静かに講堂を出ていくのを見届けたあと、ふっと隣に座るエミリアが私の手に触れた。

「……疲れましたね。」

その言葉に、私は張り詰めていた胸の奥の緊張がほどけるのを感じ、ようやく深く息を吐いた。

「ええ……考えるだけで精一杯でした。」

返した声は、どこかかすれていた。気づけば背筋に力が入っていたことにも気づく。

アレシオ殿下との対話、そしてあの最後の出来事。

思い返すだけでも胸がざわつく。

するとエミリアは、いつものように落ち着いた様子で、しかしどこか無表情な声でぽつりとつぶやいた。

「皇太子妃になるということは……こんなにも大変なことなのだと、考えさせられました。」

その言葉に、私は静かに頷いた。

――本当にその通りだと思った。

ただ憧れるだけでは到底務まらない。
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