皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
その言葉に、私は胸が少し痛んだ。

エミリアもマリアンヌ皇女も、きっと殿下の好意を素直に受け取るだろう。

それを拒んだのは、私だけ。

私はあくまで冷静を装って答えた。

「……あの二人は、気持ちの整理をつけるのが上手いのです。」

それに比べて私は、あまりにも未熟で、心の動きを隠すのが下手だった。

感情を切り離すことができない。

ただのわがままだとも分かっている。

「でも……私は、殿下に惹かれる気持ちを抑えることができません」

思わず本音がこぼれた瞬間、自分の口を手で押さえる。

しまった、と心が凍りつく。

その時だった。アレシオ殿下が、そっと私の体を抱きしめた。

「……!」

驚きに体が硬直する。殿下の胸に触れた額から、心臓の鼓動が伝わってくるようだった。

なぜ。どうして。これはまた、試されているのだろうか。それとも──。
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