皇太子妃を公募で決めるなんて聞いてません~見返す為に応募したのに皇太子殿下に心奪われてしまいました~
「……は?」

一瞬、思考が止まる。

「呆れた。自分が幼馴染みを選びたかったのね。」

「でも、伯爵家の娘じゃ、正式に妃にするには格が足りない。だから公募制にした……そういうことみたい。」

私の胸が、きゅっと縮こまるような感覚に包まれた。

ああ、そういうこと。

なるほど、“心で選びたい”なんて言葉の裏に、そんな意図があったなんて。

「公正な選出のため」だなんて、聞こえのいい建前。

本当は──選びたい者を選ぶための、“都合のいい制度”。

「そんな……」

声が、かすかに震えた。

十八年。
私は、その日のためだけに生きてきたのに。

「だったら、私が行っても……ただ笑われて、終わりじゃない。」

絞り出すように口にした言葉。

それは、今まで決して他人の前で見せなかった、私の“弱さ”だった。

手元の応募用紙が、重くのしかかる。

“皇太子妃”という言葉が、まるで遠く霞んで見える。
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